ゆかりの文人、歌人 編
ゆかりの文人、歌人 編(広報おおやまざき平成27年12月号掲載分)

僕、最近ひそかに、かるたの練習しているんだ。
お正月の百人一首大会で活躍するつもりだよ。

努力家だね、のぼる君。
百人一首は、平安時代の終わりごろに藤原定家が百人の歌人の和歌を一首ずつ選んだ歌集だね。
その藤原定家も何度か大山崎を訪れていて、その様子が「明月記」という日記に書かれているよ。

さぞ素敵な思い出が書かれているんだろうね。

そうでもなさそうだよ。雨漏りした宿に泊まって苦労したことが愚痴っぽく書かれていたりするんだよ。

意外だね。それを多くの人目にさらされて、少しかわいそうな気がするね。
日記に書くことには気をつけるようにするよ。
そうそう、JR宝寺踏切の山側に句碑があるけれど、あれは誰の句かな。

室町時代の人で、連歌(俳諧)の始祖と言われている山崎宗鑑の句だよ。
山崎をとても気に入ったので山崎と名乗ったんだ。

連歌って?

読む人が代わる代わる次の句を付けていって、百句をもって一作品を作るという風流な遊びだよ。
百人一首のような和歌は、五七五七七だけど、さらにその後に五七五、七七、五七五……と続けていくんだ。

あそこの句碑にはなんて書かれているのかな。

「うつききてねぶとに鳴くや郭公」と彫られているよ。
普通に読むと「卯月来て音ぶとに鳴くやほととぎす」だけど
「疼ききて根太(ねぶと)に泣くやほととぎす」というようにも読めて、
暗に当時根太に悩んでいた友人を揶揄(やゆ)した句と言われているんだ。

おもしろいね。連歌っていうのは人をからかったり悪く言ったらいいんだね。
ようし、僕も一句…。

違う違う、のぼる君。宗鑑はね、一休和尚と知り合ったことがきっかけで、
機智と反骨精神を学んで諧謔(かいぎゃく)を表現する歌も詠むようになったんだ。
揶揄というよりユーモアだよ。

からかいを百句も続けたら大喧嘩になるもんね。
とんだ誤解で恥ずかしいよ。やっぱり僕、かるたに専念するよ。
関連事項

根太(ねぶと)
- 腫瘍
諧謔(かいぎゃく)
- おどけて、おかしみのある言葉のこと
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更新日:2017年03月23日